為すべき仕事
これまで「病と生きる」というテーマで書き続けている。この「病と生きる」の主体はまず患者として出会った一人一人である。その方々が病を抱えて生きる姿を、仏教を通して私がどのように受け止めるかということがまず一つの課題である...
これまで「病と生きる」というテーマで書き続けている。この「病と生きる」の主体はまず患者として出会った一人一人である。その方々が病を抱えて生きる姿を、仏教を通して私がどのように受け止めるかということがまず一つの課題である...
「私は胃瘻や人工呼吸器などの延命治療はしない」先日あるALSの患者さんはそう意思を示された。その決断は非常に重い。このように決断された方はこれまでにも少なくなかった。しかしその度に気になっていることがある。「延命治療」...
「もしもあなたが、意識がはっきりしているのに、目を開けることも話すこともできない、身体を動かすことも全くできない。そんな状態がずっとつづくとしたらどうしますか」NHKスペシャル「命をめぐる対話」(二〇一〇年三月二十一日...
「自分が幸せでなければ人を幸せにできない」ある医師がこう言ったことに対して、ずっと強い違和感を抱いていた。幸せという言葉の意味にもよるが、自分の欲求が満たされて余裕がなければ相手にやさしくできない、とも言っていた。そうい...
大学で医学研究をしていると、遺伝子を扱う技術が身につく。そのため遺伝子診断を担当することがあった。遺伝子というのはDNAのらせん構造でできており、四種の「核酸」と呼ばれる物質から成る。この核酸の配列によってタンパク質の種...
今日もいつものように痰を吸う音が聞こえる。彼の頸部には穴が空いており、管が入っている。私は彼のもとを週一回訪れるが、いつ行ってもお母さんがおられる。彼が脳の手術後寝たきりになってから、お父さんと交代で毎日病院に来られ、そ...