問いとしてのいのち、歩み出すいのち
その日、眼がぐっと見開いた。以前お手紙を書いたALSの患者さんのことである(二〇二一年十一月号、病と生きる(72)扉の向こうへの手紙)。全身の筋肉が動かない閉じ込め状態となっているが、進行しても眼を動かす筋肉の働きは残る...
その日、眼がぐっと見開いた。以前お手紙を書いたALSの患者さんのことである(二〇二一年十一月号、病と生きる(72)扉の向こうへの手紙)。全身の筋肉が動かない閉じ込め状態となっているが、進行しても眼を動かす筋肉の働きは残る...
どうして歩み出せたのか 前々回から、老病死の苦悩について、釈尊の四門出遊の課題を通して確かめている。老病死の苦悩とは、「生きる喜び」「生きる意味」に信頼がおけなくなり、疑いに投げ込まれるということであると確...
今回は筋萎縮性側索硬化症(ALS)という疾患を通して考えていきたい。ALSは全身の運動ニューロンが障害される進行性の疾患であり、治療法が見つかっていない神経難病である。進行すると四肢の運動障害だけでなく、嚥下障害、構音障...
筋萎縮性側索硬化症(ALS)と診断されている一人の女性が入院された。介護する家族の休息のため一時的に入院することを、レスパイト(休息)入院と呼ぶ。今回は一週間弱の入院である。現在動く筋肉はほとんどなく、声はもちろん出...
いつも認知症外来に来られる患者さんのことである。最近はいつもニコニコされていることが多かったのだが、その日は診察室に入ったときからむっつりと黙り、険しい表情をされていた。話せないわけではないが、普段から認知症のためにス...
前に取り上げたALS(筋萎縮性側索硬化症《きんいしゅくせいそくさくこうかしょう》)について少し詳しくお話ししたい。ALSは全身の運動神経が障害される難病である。根治療法は未だなく、人工呼吸器を使用しなければ診断から数年で...