思いもよらない理由
[この記事は『崇信』二〇二四年七月号(第六四三号)「病と生きる(103)」に掲載されたものです] 前回ご紹介した方の、その後のことである。そのご家族は、母が夜間に起きて外に出て行こうとするので目が離せないが、薬を使うのも...
[この記事は『崇信』二〇二四年七月号(第六四三号)「病と生きる(103)」に掲載されたものです] 前回ご紹介した方の、その後のことである。そのご家族は、母が夜間に起きて外に出て行こうとするので目が離せないが、薬を使うのも...
[この記事は『崇信』二〇二三年七月号(第六三一号)「病と生きる(91)」に掲載されたものです] 先日、しばらく入院されていたパーキンソン病のかたが退院された。何度か入院しており、今回は前よりも身体の動きが悪くなってきてい...
[この記事は『崇信』二〇二二年十二月号(第六二四号)「病と生きる(85)」に掲載されたものです] 認知症で通院されていた患者さんが、新型コロナウイルスに感染し別の病院に入院された。奥様も感染したが、症状が重かったこのかた...
日ごろ神経難病の診察をしていると、六年前、本誌に記したALSの患者さんの言葉を、折に触れ思い出す。「石になっていくみたいでこわい」と(二〇一五年十二月号、病と生きる(4)自由境の在処)。この言葉を、ただ身体的な問題として...
循環器内科を研修中に心筋梗塞の患者さんを担当したときのことである。発症して二日目の非常に危険な時期に、突然患者さんが家に帰ると言いだした。今治療をやめて動くのは大変危険であるということを説明しても、聞き入れられない。理由...
どうして歩み出せたのか 前々回から、老病死の苦悩について、釈尊の四門出遊の課題を通して確かめている。老病死の苦悩とは、「生きる喜び」「生きる意味」に信頼がおけなくなり、疑いに投げ込まれるということであると確...
今回は認知症という疾患をとおして考えていきたい。認知症とは脳の病気であると一般的には考えられている。確かに脳の神経細胞に特殊なタンパク質が蓄積し、神経細胞が破壊され減少することで、記憶障害、見当識障害などと呼ばれる高次脳...