響鳴がない
認知症外来で実施される検査に「長谷川式簡易知能評価スケール」と呼ばれるものがある。医療に携わる人なら誰もが知る有名な検査で、認知症の診断に欠かせないものとなっている。この検査を開発した長谷川和夫先生は認知症医療の第一人者...
認知症外来で実施される検査に「長谷川式簡易知能評価スケール」と呼ばれるものがある。医療に携わる人なら誰もが知る有名な検査で、認知症の診断に欠かせないものとなっている。この検査を開発した長谷川和夫先生は認知症医療の第一人者...
認知症で通院している患者さんのご家族から、「すぐに怒るようになった」と相談があったことを以前紹介した(『崇信』二〇一九年五月号「病と生きる(45)」)。患者さんご自身は、家族がいる時は何も話されず、二人になったときに、生...
「私は死んだ」そんな奇妙なことを言うのだ、と認知症外来でご家族から相談があった。夢を見たとか、そういうことではなく、死んだのだという。あまり流暢にはお話はできないが、直接尋ねても「そう、死んだ」とそこだけははっきりと答え...
認知症外来でのことである。付き添いの奥様がお疲れの様子であり、あとでそのわけを伺った。すると最近夫が暴力的で困っているという。普段は穏やかなのだが、急にスイッチが入ったように目の色を変えて手を上げると。認知症だからでしょ...
みなさんは藤川幸之助さんという詩人をご存じでしょうか。お母さまがアルツハイマー型認知症の診断をうけて24年間介護されました。2013年に出版された詩集『徘徊と笑うことなかれ』のあとがきには、お母さまにとっては人生の三分の...
「最近すぐに怒るようになったんです」認知症外来でご家族から相談があった。たとえば、いつも昼になっても起きてこないから起きるように言うと激怒するという。認知症では相手を否定してはいけないと聞いたが、なんでも放っておいたら...
「苦しまないように最期を迎えられるようにしてください」介護施設から紹介され入院した、まもなく百歳になる女性のご家族の希望である。しかし現在とくに症状はない。ではなぜ入院したかといえば、食事が摂れなくなったからだという。...
認知症という病気は、患者さん自身の訴えは少なく、付き添いのご家族の訴えが多い。ご家族の心境として、運動の障害ならば心配というかたちで表れるが、同じ障害でも記憶の障害は心配ではなくしばしば怒りになる。 先日も、家で大声...
いつも定期受診される女性のことである。認知症と診断されているが、一見会話も普通にできるし、一人暮らしをしている。その日はなんとなくふらつくということであった。症状はあまりはっきりしない。このところ私自身の課題として、生...
誰しも自分の思いのままに行動したいと思う。しかしその行動が自他を傷つけるとしたらどうだろうか。以前認知症について、自我が崩れるという観点から考察したが、逆に自我が引き起こす問題についても考えてみたい。 認知症と診断さ...