現実の重さ
もうすぐ百歳になろうかという方が介護施設から入院してこられた。もうしばらく寝たきりであった。食事が食べられなくなったから「原因を調べてほしい」ということらしい。少し耳を疑った。限りある生命は、いずれ手足も胃腸も脳も働き...
もうすぐ百歳になろうかという方が介護施設から入院してこられた。もうしばらく寝たきりであった。食事が食べられなくなったから「原因を調べてほしい」ということらしい。少し耳を疑った。限りある生命は、いずれ手足も胃腸も脳も働き...
Dさん(仮)へ こんにちは。今回、少しお手紙を書かせていただきました。というのも、全くコミュニケーションがとれない閉じ込め状態のDさんと、どのように向き合ったらよいのかわからず、どうしてもDさんのところにいる時間が少なく...
病室でふと床頭台に目を遣ると、一通の一筆箋があるのに気がついた。奥様からのお手紙であった。いつからそこにあったのだろうか。傍らには他にも何通も置かれていた。コロナ禍の今、病院では直接の面会はできない。受付で受け取ったもの...
たまたま『アンサングシンデレラ』という病院薬剤師が主役の漫画を手にした。最近ドラマ化したらしい。それを読んで17年前のことを思い出した。私は大学病院で神経内科の研修を終えた後、市民病院で内科の研修中で、呼吸器内科を回って...
その日は少し呻き声が違った。お名前を呼びかけると、いつもより少し目を見開き、言葉にならない何かを話された。まさか意識状態が改善してきたかと少し期待し、続けて「調子はどうですか」と尋ねた。しかし私の声は、静かな病室に空し...
最近は病院で「認知症外来」も受け持っているのだが、ご家族からしばしばこのように相談を受ける。「仕事を辞めて以来、夫はずっと家でごろごろしている。何かをしてほしいんですけど。」 そうして、何か趣味を見つけましょうとか、...
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