第5回 苦悩の奥底にある問い(2)—ALS患者の問いと「諸行無常」がもつ課題
問題の出発点 前回から、ALS患者の苦悩を、釈尊の四門出遊の課題を通して確かめ始めている。ALSの患者が、完全な閉じ込め状態(TLS)になっては生きられないと言う声、寝たきりのALSの患者が「死にたい」と言...
問題の出発点 前回から、ALS患者の苦悩を、釈尊の四門出遊の課題を通して確かめ始めている。ALSの患者が、完全な閉じ込め状態(TLS)になっては生きられないと言う声、寝たきりのALSの患者が「死にたい」と言...
顔(1) 「生きた一人の人間が理解を絶して無限に複雑であるならば、それを歴史の影響、社会の影響、等々に分解して何かわかったような気持ちになったとしても、何になろう。大切なことは、眼前の一人の人間が理解を絶して生きているそ...
前回は、筋萎縮性側索硬化症(ALS)の患者さんの言葉からはじめました。 「どうせ死ぬなら殺してほしい」——もう死んでしまいたい。自らが問われていない私は、その「死にたい」という声の奥にある叫びを聞く耳をもっていませんでし...
いつものように一人の男性が、息子さんに連れ添われ認知症外来に受診された。そのお顔は笑顔とも憂え顔ともつかない、感情がなくなってしまったかのようにみえる。目は合うが、話しかけても返事をされることはなく、私はまだ一度も彼の...
しばらく入院生活が続いていた人が、ようやく退院できるようになった。「やっぱり健康が一番ですな」「そうですな」という会話が挨拶のように交わされるのをよく耳にする。長らく療養生活が続くと、そう言いたくなるのも無理はない。こ...