死に至る共感
押し潰されるような重くのしかかる痛みといえばよいのか、ただ悲しい、恐ろしいという言葉では表しきれない事件が起こった。二〇二〇年七月二十三日、京都市に住むALSと診断されていた女性に薬物を投与して殺害したとして、二人の医師...
押し潰されるような重くのしかかる痛みといえばよいのか、ただ悲しい、恐ろしいという言葉では表しきれない事件が起こった。二〇二〇年七月二十三日、京都市に住むALSと診断されていた女性に薬物を投与して殺害したとして、二人の医師...
筋萎縮性側索硬化症(ALS)と診断されている一人の女性が入院された。介護する家族の休息のため一時的に入院することを、レスパイト(休息)入院と呼ぶ。今回は一週間弱の入院である。現在動く筋肉はほとんどなく、声はもちろん出...
「人の役に立ってから死にたい。自分を新薬の実験台にしてほしい。」筋萎縮性側索硬化症(ALS)の患者さんが亡くなる三週間ほど前におっしゃったこの言葉がずっとひっかかっていた。人は誰かの役に立つために生まれてきたのだろうか...
「もしもあなたが、意識がはっきりしているのに、目を開けることも話すこともできない、身体を動かすことも全くできない。そんな状態がずっとつづくとしたらどうしますか」NHKスペシャル「命をめぐる対話」(二〇一〇年三月二十一日...
先日、新たにALS(筋萎縮性側索硬化症《きんいしゅくせいそくさくこうかしょう》)の患者さんが入院された。頸部には気管切開といって、空気を通す管を入れるための穴が開けられており、人工呼吸器がつながれている。進行が早く、診...
病院では様々な場面で治療の選択を迫られることがある。他の疾患もそうだが、神経疾患ではときに厳しい選択となる。これまでにもとりあげてきたALS(きんいしゅくせいそくさくこうかしょう筋萎縮性側索硬化症)という疾患は、進行す...
前に取り上げたALS(筋萎縮性側索硬化症《きんいしゅくせいそくさくこうかしょう》)について少し詳しくお話ししたい。ALSは全身の運動神経が障害される難病である。根治療法は未だなく、人工呼吸器を使用しなければ診断から数年で...
「両上下肢の深部腱反射《しんぶけんはんしゃ》は亢進、舌に線維束攣縮《せんいそくれんしゅく》が見られ…」「針筋電図は?」「明後日の予定です。」 毎週行われる神経内科カンファレンスの風景だ。しかしこの日のようにALS(筋萎縮...