空のベッドの前で
[この記事は『崇信』二〇二四年三月号(第六三九号)「病と生きる(99)」に掲載されたものです] 入院したときから寝たきりの患者さんがおられる。確定診断はついていないが、おそらくパーキンソン病の進行期である。呼びかけてもほ...
[この記事は『崇信』二〇二四年三月号(第六三九号)「病と生きる(99)」に掲載されたものです] 入院したときから寝たきりの患者さんがおられる。確定診断はついていないが、おそらくパーキンソン病の進行期である。呼びかけてもほ...
[この記事は『崇信』二〇二四年二月号(第六三八号)「病と生きる(98)」に掲載されたものです] 脳卒中の後遺症で長らく外来に通院されているかたがおられる。右上下肢に麻痺がある。以前、片手ではマスクをつけにくいという当たり...
[この記事は『崇信』二〇二三年八月号(第六三二号)「病と生きる(92)」に掲載されたものです] 先日、最近認知症外来に通い始めたあるかたが、話し始めるなりこうおっしゃった。「何もする気が起こらない。早く死んでしまいたい」...
[この記事は『崇信』二〇二三年四月号(第六二八号)「病と生きる(89)」に掲載されたものです] 病院に併設する介護施設から相談があった。“不穏”で困っているという。看護記録を見ると、「昼食後『誰が送ってくれるの!?』『私...
[この記事は『崇信』二〇二三年三月号(第六二七号)「病と生きる(88)」に掲載されたものです] 昨年十二月、「本人の意向を尊重した意思決定のための相談員研修会」というものに参加した。意思決定を支援する相談員の育成と、AC...
[この記事は『崇信』二〇二三年一月号(第六二五号)「病と生きる(86)」に掲載されたものです] 認知症の母の介護に手を焼いている、と息子さんから相談があった。尿や便を頻繁に漏らしてしまうという。膀胱括約筋の働きは弱くなる...
筋強直性ジストロフィーの方が入院されたときのことである。一時食事量が減り、呼吸状態も悪くなった。すぐに持ち直したが、今後栄養が取れなくなったとき胃瘻を造設するか、呼吸状態が悪くなったとき人工呼吸器を使用するか、などの選択...
先日、ALSの患者さんが四十三年の生涯を終えられた。昨年十月には手紙を書き(病と生きる(72))、本年三月号には眼が見開いたことを記したばかりであった(病と生きる(76))。長い闘病であった。私ができることは何もなかった...
Dさん(仮)へ こんにちは。今回、少しお手紙を書かせていただきました。というのも、全くコミュニケーションがとれない閉じ込め状態のDさんと、どのように向き合ったらよいのかわからず、どうしてもDさんのところにいる時間が少なく...
押し潰されるような重くのしかかる痛みといえばよいのか、ただ悲しい、恐ろしいという言葉では表しきれない事件が起こった。二〇二〇年七月二十三日、京都市に住むALSと診断されていた女性に薬物を投与して殺害したとして、二人の医師...