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連載「病と生きる」

いのちは誰のものか

2019.07.01

 先日放送されたNHKスペシャル「彼女は安楽死を選んだ」には大きな衝撃を受けた。神経難病の多系統萎縮症《たけいとういしゅくしょう》を患う方が、身体の機能を失って生きることに尊厳を見出せないと言い、「私が私であるうちに安楽...

連載「病と生きる」

たすからない自分

2019.06.01

 研修医のころのある日。鈍く重い音が聞こえたと思ったら、すぐに院内放送が入った。「CPR、CPR、三階北病棟」CPRコールとは、院内で心肺停止などの緊急事態が発生したときに、医師や看護師がすぐ駆けつけるように知らせる放送...

連載「病と生きる」

敬うべきものがある生活

2019.05.01

 「最近すぐに怒るようになったんです」認知症外来でご家族から相談があった。たとえば、いつも昼になっても起きてこないから起きるように言うと激怒するという。認知症では相手を否定してはいけないと聞いたが、なんでも放っておいたら...

連載「病と生きる」

何度も出会いなおす

2019.04.01

 手首から先が無くなった寝たきりの方のことをお伝えしたのを覚えておられるだろうか(病と生きる(35)「尊厳が損なわれるとき」)。先日息を引き取られた。外来にご自分で歩いて通っておられたときから、もう十年以上関わらせていた...

連載「病と生きる」

迷惑をかけたくない

2019.03.01

 先月号でお話しした、まもなく百歳の女性のその後をお伝えしたい。それからも食事はほとんど摂らず、徐々に身体は衰えていった。素っ気ない態度は変わらず、別に何もしてもらうことはないといって口を閉ざし、それ以上のお話はできずに...

連載「病と生きる」

喜びを支えるもの

2019.02.01

 「苦しまないように最期を迎えられるようにしてください」介護施設から紹介され入院した、まもなく百歳になる女性のご家族の希望である。しかし現在とくに症状はない。ではなぜ入院したかといえば、食事が摂れなくなったからだという。...

連載「病と生きる」

為すべき仕事

2019.01.01

 これまで「病と生きる」というテーマで書き続けている。この「病と生きる」の主体はまず患者として出会った一人一人である。その方々が病を抱えて生きる姿を、仏教を通して私がどのように受け止めるかということがまず一つの課題である...

連載「病と生きる」

自由と平等の乖離

2018.12.01

 認知症という病気は、患者さん自身の訴えは少なく、付き添いのご家族の訴えが多い。ご家族の心境として、運動の障害ならば心配というかたちで表れるが、同じ障害でも記憶の障害は心配ではなくしばしば怒りになる。  先日も、家で大声...

連載「病と生きる」

問いがもてなくなるとき

2018.11.01

 遺伝性神経難病の相談会に参加したときのことである。何人かの医師や看護師がグループで相談を受ける側となり各部屋に待機する。そこに患者さんやご家族が入る。私はそのとき初めての参加だったので、勉強させていただくつもりで、遺伝...

連載「病と生きる」

究極的関心事と日常的関心事のあいだで

2018.10.01

 いつも定期受診される女性のことである。認知症と診断されているが、一見会話も普通にできるし、一人暮らしをしている。その日はなんとなくふらつくということであった。症状はあまりはっきりしない。このところ私自身の課題として、生...

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