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仏教の問題領域

第2回 老病死の問題とは何か

2020.04.12

前回は、筋萎縮性側索硬化症(ALS)の患者さんの言葉からはじめました。 「どうせ死ぬなら殺してほしい」——もう死んでしまいたい。自らが問われていない私は、その「死にたい」という声の奥にある叫びを聞く耳をもっていませんでし...

日々の出会い

新型コロナウイルスをめぐって

2020.04.04

このたびの新型コロナウイルスの問題には、さまざまなことを考えさせられます。ただ不安になるのではなく、自分のあり方を確かめるきっかけにしたいと思っています。 「生きる」ということを改めて考えると、自分が生きるということが、...

連載「病と生きる」

追放状態の中で

2020.04.01

「先週からちょっと咳がでているんです。いま話題の新型コロナウイルスじゃないでしょうね」診察中一度も咳をすることなく、発熱もない奥様のことを、心配とも世間話ともつかない口調で尋ねられる。奥様はそれを聞いて笑っておられる。 ...

認知症に学ぶ

認知症を通して問われること

2020.03.29

みなさんは藤川幸之助さんという詩人をご存じでしょうか。お母さまがアルツハイマー型認知症の診断をうけて24年間介護されました。2013年に出版された詩集『徘徊と笑うことなかれ』のあとがきには、お母さまにとっては人生の三分の...

仏教の問題領域

第1回 「医学の学び」と「仏教の学び」

2020.03.21

私はもう治らないんですね。どうせ死ぬなら殺してください。 研修医だったあるときに投げかけられた、筋萎縮性側索硬化症(ALS)の患者さんの声です。非常に重い言葉を伝えられました。 ALSは難病中の難病。治療法がなく、全身の...

連載「病と生きる」

お疲れさま

2020.03.01

  筋萎縮性側索硬化症(ALS)と診断されている一人の女性が入院された。介護する家族の休息のため一時的に入院することを、レスパイト(休息)入院と呼ぶ。今回は一週間弱の入院である。現在動く筋肉はほとんどなく、声はもちろん出...

連載「病と生きる」

「ありうることだ」

2020.02.01

 「調子はいかがですか」そうたずねると、「身体は調子がいいです」と言われる。医師としては身体の調子がよければいいところであるが、「身体は」というところが気にかかる。「身体は、ということは…」と言いかけて、どうたずねようか...

連載「病と生きる」

在宅医療の奥に

2020.01.01

 「家に帰りたい」多系統萎縮症《たけいとういしゅくしょう》で入院中の方はそう切に訴えられる。家の二階の書斎からの眺めは最高だそうだ。在宅療養にむけて準備を進めているが、かえって症状は進行している。  慣れ親しんだ家で過ご...

連載「病と生きる」

学問と実践

2019.12.01

 しばらく仏教学の博士論文に専念するため、連載をお休みさせていただいた。世親(天親菩薩)の兄である無著が偈頌を製作し、世親が註釈を施したといわれる『大乗荘厳経論』と、安慧による註釈を中心として、初期唯識思想を研究している...

連載「病と生きる」

見捨てられない場所

2019.08.01

 「私は親の面倒を一生懸命みてきた。自分も娘にそうしてもらえると思ったら孫のことばかりで、私が困っていても助けてくれない。苦労して育てたのに。つまらん人生だった。」神経難病で入院中の女性の言葉である。  してほしいことを...

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