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連載「病と生きる」

ご苦労様でした

2022.05.01

先日、ALSの患者さんが四十三年の生涯を終えられた。昨年十月には手紙を書き(病と生きる(72))、本年三月号には眼が見開いたことを記したばかりであった(病と生きる(76))。長い闘病であった。私ができることは何もなかった...

連載「病と生きる」

薬がない

2022.04.01

あまり話題になっていないのだが、実は今、多くの医薬品が供給不足に陥っている。先日薬剤師から、てんかんの発作を抑えるある薬剤が底をつきかけており、確保できる目処も立っていないため、他の薬剤に変更してほしいと言われた。これは...

日々の出会い

一瞬の光

2022.03.01

新しいカメラを買ったので、久しぶりに写真を撮りに出かけることにした。といっても遠くに旅行にはいけないので、近所を散歩しながらスナップを撮る。このところ休みの日もほとんど家に籠もっていたので、ちょうどいい運動にもなる。 写...

連載「病と生きる」

問いとしてのいのち、歩み出すいのち

2022.03.01

その日、眼がぐっと見開いた。以前お手紙を書いたALSの患者さんのことである(二〇二一年十一月号、病と生きる(72)扉の向こうへの手紙)。全身の筋肉が動かない閉じ込め状態となっているが、進行しても眼を動かす筋肉の働きは残る...

連載「病と生きる」

現実の重さ

2022.02.01

 もうすぐ百歳になろうかという方が介護施設から入院してこられた。もうしばらく寝たきりであった。食事が食べられなくなったから「原因を調べてほしい」ということらしい。少し耳を疑った。限りある生命は、いずれ手足も胃腸も脳も働き...

連載「病と生きる」

恵み

2022.01.01

日ごろ神経難病の診察をしていると、六年前、本誌に記したALSの患者さんの言葉を、折に触れ思い出す。「石になっていくみたいでこわい」と(二〇一五年十二月号、病と生きる(4)自由境の在処)。この言葉を、ただ身体的な問題として...

連載「病と生きる」

身命をかえりみず

2021.12.01

循環器内科を研修中に心筋梗塞の患者さんを担当したときのことである。発症して二日目の非常に危険な時期に、突然患者さんが家に帰ると言いだした。今治療をやめて動くのは大変危険であるということを説明しても、聞き入れられない。理由...

連載「病と生きる」

扉の向こうへの手紙

2021.11.01

Dさん(仮)へ こんにちは。今回、少しお手紙を書かせていただきました。というのも、全くコミュニケーションがとれない閉じ込め状態のDさんと、どのように向き合ったらよいのかわからず、どうしてもDさんのところにいる時間が少なく...

連載「病と生きる」

コロナ禍と他者/願わくは、ここに停まらん

2021.10.01

目次コロナ禍と他者願わくは、ここに停まらん コロナ禍と他者 危惧していたことが現実になった。医療が受けられないままに新型コロナによって自宅で亡くなっていく方が続出している。妊婦の方が入院できず自宅で出産し新生児が亡くなる...

連載「病と生きる」

輝くもの

2021.09.01

病室に伺うと、テレビでオリンピックを見ておられた。多系統萎縮症のため寝たきりとなった方である。会話も難しくなってきたが何とか聞き取れる。オリンピックはどうですかと尋ねると、応援していますとおっしゃたが、その返事は懐かしそ...

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