恵み
日ごろ神経難病の診察をしていると、六年前、本誌に記したALSの患者さんの言葉を、折に触れ思い出す。「石になっていくみたいでこわい」と(二〇一五年十二月号、病と生きる(4)自由境の在処)。この言葉を、ただ身体的な問題として...
日ごろ神経難病の診察をしていると、六年前、本誌に記したALSの患者さんの言葉を、折に触れ思い出す。「石になっていくみたいでこわい」と(二〇一五年十二月号、病と生きる(4)自由境の在処)。この言葉を、ただ身体的な問題として...
循環器内科を研修中に心筋梗塞の患者さんを担当したときのことである。発症して二日目の非常に危険な時期に、突然患者さんが家に帰ると言いだした。今治療をやめて動くのは大変危険であるということを説明しても、聞き入れられない。理由...
Dさん(仮)へ こんにちは。今回、少しお手紙を書かせていただきました。というのも、全くコミュニケーションがとれない閉じ込め状態のDさんと、どのように向き合ったらよいのかわからず、どうしてもDさんのところにいる時間が少なく...
目次コロナ禍と他者願わくは、ここに停まらん コロナ禍と他者 危惧していたことが現実になった。医療が受けられないままに新型コロナによって自宅で亡くなっていく方が続出している。妊婦の方が入院できず自宅で出産し新生児が亡くなる...
病室に伺うと、テレビでオリンピックを見ておられた。多系統萎縮症のため寝たきりとなった方である。会話も難しくなってきたが何とか聞き取れる。オリンピックはどうですかと尋ねると、応援していますとおっしゃたが、その返事は懐かしそ...
新型コロナウイルスの第四波が襲う五月、私の外来に通うCさん(仮)が新型コロナウイルスで亡くなった。そのころ関西圏では重症化しても入院できない事態に陥っており、Cさんも入院できず自宅で亡くなったと連絡があった。私自身、医療...
目次苦悩を知らずに出会えない自分「仮」の仏弟子苦悩に痛みを感じて 苦悩を知らずに この講義では、実際に医療現場で投げかけられた苦悩の言葉と、それを私自身がどう受け止めようとしたかというところから始めた。苦悩...
目次渇愛と清浄意欲敬うべき者との出会い出会いの根拠燃灯仏授記物語のもつ意味 渇愛と清浄意欲 前回は、生きる意欲ということについて学んだ。我われには「私が私でありたい」「私としていのちを全うしていきたい」とい...
(第12回はディスカッション形式の授業だったため、まとめはありません。) 目次第8回〜第11回のまとめほんとうの希望とは何かほんとうに欲しているもの汝の欲することをなせ闇を闇として二つの「我」 第8回〜第11回のまとめ ...
大脳皮質基底核症候群という神経難病の方が入院された。病状は進行しており、寝たきりである。そんな重度の障害がある場合、いつ急変するかわからないことから、急変時に延命治療をするかどうか、あらかじめ意思を確かめることが多い。そ...