差別とは何か
多発性硬化症《たはつせいこうかしょう》(MS)という神経疾患がある。神経細胞を覆っている髄鞘《ずいしょう》という部位に対して自己の免疫が誤ってはたらき、神経障害が多発する。投薬によって症状は一旦改善するが、繰り返し再発す...
多発性硬化症《たはつせいこうかしょう》(MS)という神経疾患がある。神経細胞を覆っている髄鞘《ずいしょう》という部位に対して自己の免疫が誤ってはたらき、神経障害が多発する。投薬によって症状は一旦改善するが、繰り返し再発す...
認知症外来で実施される検査に「長谷川式簡易知能評価スケール」と呼ばれるものがある。医療に携わる人なら誰もが知る有名な検査で、認知症の診断に欠かせないものとなっている。この検査を開発した長谷川和夫先生は認知症医療の第一人者...
いまやマスクをして出歩くのは当たり前の光景となった。仕事で一日中マスクをしてきた私としては特に違和感がないが、慣れない方は大変かもしれない。医療従事者が常にマスクをしているのは、感染抑制に一定の効果があるからであり当然の...
目次顔(1)顔(2) 顔(1) 「生きた一人の人間が理解を絶して無限に複雑であるならば、それを歴史の影響、社会の影響、等々に分解して何かわかったような気持ちになったとしても、何になろう。大切なことは、眼前の一人の人間が理...
認知症で通院している患者さんのご家族から、「すぐに怒るようになった」と相談があったことを以前紹介した(『崇信』二〇一九年五月号「病と生きる(45)」)。患者さんご自身は、家族がいる時は何も話されず、二人になったときに、生...
「呼吸がおかしいからすぐ来てほしい」当直中、慌てた様子で看護師から電話があった。駆けつけると、まさに呼吸が止まろうとしていた。療養型の病院では、最期の看取りのときにそのように呼ばれることが多い。カルテにNo CPR(心肺...
たまたま『アンサングシンデレラ』という病院薬剤師が主役の漫画を手にした。最近ドラマ化したらしい。それを読んで17年前のことを思い出した。私は大学病院で神経内科の研修を終えた後、市民病院で内科の研修中で、呼吸器内科を回って...
押し潰されるような重くのしかかる痛みといえばよいのか、ただ悲しい、恐ろしいという言葉では表しきれない事件が起こった。二〇二〇年七月二十三日、京都市に住むALSと診断されていた女性に薬物を投与して殺害したとして、二人の医師...
これまで「病と生きる」という題のもとに書いてきているが、病と生きるといっても、私自身はいまのところ重い病を抱えているわけではない。昔から体調を崩しやすく、年に何度か高熱を出して寝込むということはあるが、いずれ回復するよう...
「私は死んだ」そんな奇妙なことを言うのだ、と認知症外来でご家族から相談があった。夢を見たとか、そういうことではなく、死んだのだという。あまり流暢にはお話はできないが、直接尋ねても「そう、死んだ」とそこだけははっきりと答え...