いのちの意味が開かれた場所
筋強直性ジストロフィーの方が入院されたときのことである。一時食事量が減り、呼吸状態も悪くなった。すぐに持ち直したが、今後栄養が取れなくなったとき胃瘻を造設するか、呼吸状態が悪くなったとき人工呼吸器を使用するか、などの選択...
筋強直性ジストロフィーの方が入院されたときのことである。一時食事量が減り、呼吸状態も悪くなった。すぐに持ち直したが、今後栄養が取れなくなったとき胃瘻を造設するか、呼吸状態が悪くなったとき人工呼吸器を使用するか、などの選択...
わざわざ語る人が少ないのであまり知られていないかもしれないが、実は医師には書類仕事が結構多い。特に脳神経内科医は神経難病や認知症を診るので、難病認定のための書類の他、介護認定、訪問看護やリハビリの指示書など様々なものを扱...
先日、ALSの患者さんが四十三年の生涯を終えられた。昨年十月には手紙を書き(病と生きる(72))、本年三月号には眼が見開いたことを記したばかりであった(病と生きる(76))。長い闘病であった。私ができることは何もなかった...
あまり話題になっていないのだが、実は今、多くの医薬品が供給不足に陥っている。先日薬剤師から、てんかんの発作を抑えるある薬剤が底をつきかけており、確保できる目処も立っていないため、他の薬剤に変更してほしいと言われた。これは...
新しいカメラを買ったので、久しぶりに写真を撮りに出かけることにした。といっても遠くに旅行にはいけないので、近所を散歩しながらスナップを撮る。このところ休みの日もほとんど家に籠もっていたので、ちょうどいい運動にもなる。 写...
その日、眼がぐっと見開いた。以前お手紙を書いたALSの患者さんのことである(二〇二一年十一月号、病と生きる(72)扉の向こうへの手紙)。全身の筋肉が動かない閉じ込め状態となっているが、進行しても眼を動かす筋肉の働きは残る...
もうすぐ百歳になろうかという方が介護施設から入院してこられた。もうしばらく寝たきりであった。食事が食べられなくなったから「原因を調べてほしい」ということらしい。少し耳を疑った。限りある生命は、いずれ手足も胃腸も脳も働き...
日ごろ神経難病の診察をしていると、六年前、本誌に記したALSの患者さんの言葉を、折に触れ思い出す。「石になっていくみたいでこわい」と(二〇一五年十二月号、病と生きる(4)自由境の在処)。この言葉を、ただ身体的な問題として...
循環器内科を研修中に心筋梗塞の患者さんを担当したときのことである。発症して二日目の非常に危険な時期に、突然患者さんが家に帰ると言いだした。今治療をやめて動くのは大変危険であるということを説明しても、聞き入れられない。理由...
Dさん(仮)へ こんにちは。今回、少しお手紙を書かせていただきました。というのも、全くコミュニケーションがとれない閉じ込め状態のDさんと、どのように向き合ったらよいのかわからず、どうしてもDさんのところにいる時間が少なく...